高齢者の低栄養を見逃すな|主治医意見書と在宅栄養ケア

2026.07.14 21:00(3か月前) 国会質問活動の記録 |川村ゆうだい

主な質疑内容

2026年7月14日、参議院厚生労働委員会での質疑(栄養管理に関する件)。在宅高齢者の低栄養を「攻めの予防医療」の柱とするよう求め、主治医意見書の記載、低栄養の評価方法、退院後の栄養ケア、医学部の栄養教育について質問しました。

  • 在宅高齢者の低栄養を「攻めの予防医療」の柱に
  • 主治医意見書の「89%が栄養状態良好」は実態と合うのか
  • 栄養状態を正確に記載するための医師への周知
  • 血清アルブミン値に頼る低栄養評価の見直し
  • 退院後に途切れる栄養ケアと経口栄養剤の飲み残し
  • 特別用途食品・経口栄養補助食品の活用
  • 医学部の卒前教育での実践的な栄養教育

高齢者の低栄養を見逃すな|主治医意見書と在宅栄養ケア

議事録

第221回国会 参議院 厚生労働委員会 第18号 令和8年7月14日 国会会議録検索システム

川村雄大君 続きまして、公明党の川村雄大でございます。よろしくお願いいたします。午前中、私が最後の質疑者でございます。
昨年十二月四日の当委員会におきまして、上野大臣から、在宅医療、口腔管理、リハビリテーション、そして、栄養管理は健康寿命の延伸に資する取組であり、攻めの予防医療と密接に関連するとの御答弁をいただきました。
そこで、本日は、そのときに実は準備をしておりました質疑が漏れましたので、特に低栄養対策について、前回の積み残しから少し発展をさせる形で質疑をさせていただきたいと思います。
高齢者の低栄養は、フレイルを悪化させ、感染症、転倒、骨折、ひいては、それによる入院、手術、そして要介護度の悪化につながり得ます。健康寿命の延伸のみならず、医療費削減の観点からもできるだけ低減すべきリスクだと思われまして、そのことを示唆する研究も内外から発表されております。
そこで、改めて大臣に伺います。
在宅高齢者の低栄養の予防、改善を攻めの予防医療の明確な政策の柱として位置付け、新たな地域医療構想や令和九年度からの第八次医療計画の後期計画において、栄養管理を含む医療、介護の多職種連携を具体的に力強く推進していただくべきではないでしょうか。大臣の御見解を改めて伺います。

国務大臣(上野賢一郎君) まず、国民の皆様が生涯にわたって元気に活躍をできる社会を実現をし、社会保障制度を含めた社会の支え手となっていただくために攻めの予防医療を推進することとしております。この中では、在宅高齢者に限らず、国民の皆様を対象とした栄養、食生活についても攻めの予防医療の取組分野に位置付け、疾病リスクの低減に資する健康的な食事の内容や適切な摂取量等の効果的な発信を進めていくこととしております。
また、在宅医療において、地域における訪問栄養食事指導を含めた医療提供体制の整備は重要です。このため、第八次医療計画や二〇四〇年に向けた地域医療構想においては、訪問栄養食事指導を含めた医療・介護サービスが患者の状態に応じて適切に提供されるように多職種連携に係る取組等を位置付けて推進をすることとしているところであります。

川村雄大君 全くおっしゃっていただいたとおりでございまして、進めていただければと思います。
さて、科研費を用いた観察研究では、居宅サービスを利用する高齢者のうち、七二・一%の方が低栄養あるいは低栄養リスクであるというような報告がございました。低栄養群では、栄養状態良好群と比べまして、入院、再入院、施設入所及び死亡のリスクが高いことも示されています。観察研究でありますけれども、在宅の方には低栄養又はそのリスクを有する高齢者が相当数存在をして、健康アウトカムに影響し得ることを示唆する知見であると思っております。
ところで、十二月四日の私の質疑では、令和元年度分の調査解析ということで介護保険主治医意見書の解析をしますと、介護保険主治医意見書七千八百六十三件のうち、その介護保険を受給しようとする利用者の現在の栄養状態が良好と記載をされていたものが、うち七千五件、約八九%であったという御答弁がございまして、これは、先ほど提示をした在宅高齢者には潜在的な低栄養状態の方が多いという結果と乖離するんではないかというふうに感じました。
そこでお伺いしますけれども、主治医意見書の約八九%で栄養状態が良好と判定されていることについて、厚労省としてはどのように分析、評価をされていますでしょうか。

政府参考人(黒田秀郎君) お答えいたします。
要介護認定は、高齢者等に係る介護の手間に着目をしまして、認定調査員による心身の状況の調査、主治医意見書、学識経験者で構成をされる介護認定審査会の審査により必要度を判定する仕組みとなってございます。
このうち、御指摘の主治医意見書の栄養状態につきましては、現在の栄養状態について、体重減少やBMI等に基づき、良好、不良の二つから選択をするという仕組みになってございます。栄養状態の具体的な評価方法につきましては、主治医意見書記入の手引きにおいてお示しをしておりますし、各自治体において研修会等の開催もお願いをしているところでございます。
委員御指摘の数字については、現在の栄養状態についての評価が行われているものだというふうに承知しております。

川村雄大君 私も、介護保険主治医意見書も記載しまして、それから審査会にも出たことございますけれども、ありていに言うと、医師の方で栄養状態に対する意識が低いのではないかなというふうに感じております。実態との乖離、これはあるというふうに感じております。
主治医意見書の作成時におきまして、その当該の医師が患者あるいは利用者の栄養状態を正確に反映した記載がなされるように周知徹底すべきと考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

政府参考人(黒田秀郎君) お答え申し上げます。
主治医意見書は、要介護等の審査判定を行うに当たっての重要な資料でございまして、主治医が栄養状態を含め適切に評価し、記載いただくことが重要だと考えております。
このため、主治医意見書の記入方法については、国において主治医意見書記入の手引きにおいて具体的にお示しをしておりますほか、各自治体においても主治医意見書の作成に係る研修等々実施していただいているところでございます。
この主治医による適切な評価、記入が行われるように、先ほども申し上げた主治医意見書記入の手引きも含めまして効果的な周知方法について検討をしてまいります。

川村雄大君 ありがとうございます。
今お示しになられたこの主治医意見書記入の手引きですけれども、これを実際見てみますと、手引きの項目に、過去六か月程度の体重変化、BMI、これは身体所見ですけれども、それに加えて、血清アルブミン値が明らかな場合のその数値というふうに書いてございます。
体重変化とか簡便な理学所見を用いて栄養状態を評価することは極めて重要だと思っていますけれども、一方で、この血清アルブミン値というのは、炎症だったり、体液状態、つまり脱水ぎみだと高く出るとか、単独で栄養状態を判定することはできないものというふうに最近は変わってきているというふうに理解しておりまして、介護保険主治医意見書記入の手引きにおいて、血清アルブミン値は少なくとも除外すべきではないでしょうか。また、その内容は理学所見等最新のエビデンスに基づいた簡便な栄養指標に更新をしていくべきであるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(黒田秀郎君) お答え申し上げます。
主治医意見書の手引きにおいては、現在、低栄養の評価につきましては、委員御指摘のとおり、体重、BMIのほか、血清アルブミン値を踏まえて判断する旨が記載がございます。
この点につきましては、例えば、令和六年診療報酬改定では、入院時の栄養管理体制の基準において、GLIM基準による栄養状態の評価を位置付けることが望ましいとされるなど、低栄養の評価の見直しが行われているというふうに承知しております。
主治医意見書においても、栄養状態の評価も含めてより適切な記載をいただけるよう、エビデンス、他の制度との整合性も踏まえて対応を検討してまいります。

川村雄大君 栄養は極めて大事でありまして、それをどう評価するかということもアップデートしなければいけませんので、私は、医師側の意識改革というか、問題改革は極めて大事であるというふうに思っておりますので、関係学会等とも連携をして進めていただきたい。
何せ、この手引きを見て書いた場合に、アルブミン値が三・六あるから良好だと判断をするわけですけれども、実際は脱水で上がっているだけで、実際は低栄養と、こういうこともあり得るわけでございまして、介護保険主治医意見書の記載そのものは介護保険の認定の審査に使われるものでありますけれども、ケアマネジャーの現場の方に聞きますと、栄養状態がどうだろうというときに参考にしないこともないというふうに言っていましたので、このケアプラン立てるに当たっても、医師が書いたものでありますから、参照され得る書類でもございますので、そこはちょっと見直していただきたいというふうに強く思います。
それから、入院中と退院後の在宅では栄養管理に大きなギャップがあるというふうに感じておりました。入院中は、栄養士の下で嚥下機能や栄養状態に応じた食事が、形、形態や量などを工夫して提供されやすいです。それは施設側としても、処方ではなく食事として提供しますので、それによる経営的なインセンティブもありまして、より充実した提供内容になりやすいわけであります。一方、退院後はそれが途切れてしまうという課題が私も感じていました。
令和八年度の診療報酬改定では、退院後訪問栄養食事指導料が新設をされまして、これは入院医療機関の管理栄養士が退院後一か月以内に患家を訪問したことに対して加算が付くというものでございます。これは、以前から私も懸念しておりました入院中と在宅との栄養ケアのギャップに対応するものであり、効果に期待したいと思っております。
その上で、国内の外来患者を対象とした横断研究によりますと、医薬品型の経口栄養剤、処方されて、缶のような形で処方される栄養剤のことでありますけれども、味や量、摂取のしにくさ、それから飲み忘れ等が理由となっておりまして、アドヒアランスが非常に悪いという結果が出ております。
要するに、例えば訪問診療をしますと、せっかく処方された栄養剤の缶が大量に積み上がって残っている、こうしたことはよく私も体験をいたしました。まず、こうした医薬品型の経口栄養剤についてのアドヒアランス上の課題について、厚労省はどのように認識をされておりますでしょうか。

政府参考人(宮本直樹君) お答えいたします。
先生御指摘の経口栄養剤のアドヒアランス不良に関する課題は、厚生労働省としても重要であると考えております。
日本栄養治療学会等が令和八年四月に作成した医薬品経腸栄養剤適正使用指針によれば、経口栄養補助においては、服薬アドヒアランスを定期的に評価し、アドヒアランスが低下する場合には経腸栄養剤の種類やフレーバーを患者の希望やニーズに合わせて変更することも考慮すべき、残薬が確認された場合には、医師、薬剤師等で連携の上、処方内容の調整や服薬タイミングの指導等の対策を検討することが望ましいなどの内容が定められているところでございます。
厚生労働省といたしましては、当該指針にあるような薬局薬剤師等の関係者等の連携を推進するため、研修等において周知啓発などを行い、経口栄養剤のアドヒアランス不良に関する課題に適切に対応してまいりたいと考えております。

川村雄大君 ありがとうございます。
要するに、飽きてしまったりして摂取しなくなるので、嗜好に応じていろいろ工夫をしなさいということだと思います。
そこで、医薬品型の栄養剤というのは種類も限定をされて実はおります。これはもう医薬品としての扱いですので、医薬品として流通するのに時間が掛かるということ、商品開発の自由性が当然少ないということがございまして、一方で、特別用途食品という消費者庁が認可をする食品群がございます。これは、病者用食品として総合栄養食品、それから嚥下困難者用食品等の種類がございます。同様な成分、同様な栄養価を有しておりながら、様々な味だったり形態、例えばゼリーがあったりですね、そうした工夫がなされている、そういった食品群がございます。
低栄養改善のためには、これらの活用を推進すべきではないかというふうに考えております。これは、すなわち医薬品を一律に食品へ置き換えるというわけではなくて、医学的に必要な患者への保険給付は確保をしながら、医療保険の枠外であっても、とにかく在宅療養によっては、在宅療養において栄養ケアを進めていく、選択肢を増やすという趣旨でございます。
厚生労働省においても、在宅高齢者の低栄養改善のために、消費者庁や関係団体等と連携をして、この特別用途食品を含む経口栄養補助食品の利活用を推進するような取組を進めていくべきと考えますけれども、御見解を伺います。

政府参考人(森光敬子君) お答え申し上げます。
在宅医療を受ける高齢者の低栄養改善には、本人の嗜好などに寄り添った食事を提供する等の栄養管理を実施し、より良い在宅環境を整える必要があると考えております。低栄養の改善のためには、こうした食事に加えて、特別用途食品を始めとする栄養補助食品を適切に活用するということも重要だと考えております。
こうした観点を含めまして、在宅療養における栄養管理を適切に提供するために、第八次医療計画における在宅医療の体制構築に係る指針において、患者の状態に応じた栄養管理や適切な食事提供に資する情報、このような食品に関する情報も含めて提供するための体制を構築することをお示しし、各都道府県において体制構築を今進めているというところでございます。
また、各職種が把握した患者の栄養状態に関する情報に基づいて、在宅医療に関わる多職種がそれぞれの専門性を発揮しながら適切な補助食品を活用した栄養管理など、患者にとって適切な在宅療養の実施につなげるということが重要でございまして、地域の在宅医療提供体制の構築、強化に向けて引き続き必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

川村雄大君 ありがとうございます。
最後、済みません、時間があと一分ありますのでお聞きしたいと思います。
医学部の卒前教育における栄養教育の現状について、文科省の方にお伺いしたいと思います。
医学部の卒前教育、極めて大事でありまして、栄養学の位置付け、どのようになっておりますでしょうか。
令和四年度改訂版のモデル・コア・カリキュラムの適用状況も踏まえまして、実践的な栄養教育、今後更に充実させるべきと考えますけれども、御見解を伺います。

政府参考人(松浦重和君) お答えいたします。
攻めの予防医療を実践していくために、医師が卒前教育で栄養学を修得することは大変重要であるというふうに認識しております。
令和四年度に改訂した医学教育モデル・コア・カリキュラムにおきましては、実践的な栄養教育に関する学習目標として、栄養アセスメント、栄養ケア・マネジメント、栄養サポートチーム、疾患別の栄養療法について理解しているということが盛り込まれておりまして、各大学においてこれを踏まえた教育が行われていると承知しております。
文科省といたしましては、医学教育における実践的な栄養教育の充実に向けて、このような取組事例の各大学への周知等に取り組んでまいります。

川村雄大君 時間来ました。ありがとうございました。
私、大学で、NSTで学生さんと一緒にラウンドしたりもしておりまして、極めて有効な教育だったというふうに感じておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

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