はしか感染拡大、警戒を

2026.07.15 07:00(2か月前) メディア掲載情報活動の記録 |川村ゆうだい

乳児の「未来奪う」恐れ
参院議員会館で患者・家族が訴え

今年に入って感染が拡大するはしか(麻疹)。コロナ禍以降、はしかと風疹を予防する混合ワクチン(MRワクチン)の接種率は全国的に低下しており、未接種の乳児が感染すると難病「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」を発症する恐れがある。9日に参院議員会館で開かれた会合での患者・家族の訴えとともに、川崎市健康安全研究所の岡部信彦参与の講演要旨を紹介する。

■重い合併症、数年の潜伏期間経て発症

国立健康危機管理研究機構によると、はしかの患者数は今年、全国で547人(7月8日現在)に上り、前年同時期と比べて3倍を超えている。

こうした状況で強く懸念されるのが、MRワクチンを無料で打てる定期接種(1歳と5~6歳の計2回)の年齢に達せず、ワクチン接種できない乳児の感染だ。はしかの症状がいったんは回復しても、5~10年の潜伏期間を経て、重篤な合併症SSPEを発症するリスクがあるからだ。

■ワクチンが唯一の予防策だが、定期接種は1歳から

はしかウイルスが脳内で持続感染することが原因で、根本的な治療法はまだないため、ワクチン接種で抗体を作ることが唯一の予防策となる。

東京都内に住む辻海人さん(28)は生後11カ月の時、はしかに感染した。定期接種を受けられるわずか1カ月前だった。はしかの症状は10日ほどで収まった。「3歳から近くのサッカーチームに入り、幼稚園時代には都の大会で優勝した。親としては、プロの選手になれる可能性があると、喜んでいた時期だった」と父の治仁さんは振り返る。

体に異変が出始めたのは、小学2年生だった2006年の秋。学校の廊下で転んだり、学力が急に下がったりした。病院で検査を受けた結果、SSPEとの診断を受けた。治仁さんは「SSPEの子どもは、重症心身障がい児になることがほとんどだ。医者から亡くなる可能性が高いと言われた衝撃は、忘れることができない」と話す。

闘病生活は20年に迫る。「はしかは、子どもの未来を奪い去る恐ろしい難病を起こすウイルスだと知ってほしい。苦しい思いをする子どもや、家族が涙することは絶対になくしたい」と、治仁さんは強く訴えている。

患者・家族の会「SSPE青空の会」によると、国内の患者数は約60人。同会の田伏純子会長は「今年はワクチン未接種の乳児10人が感染しており、SSPEを発症しないかと危惧している。未接種の乳児の感染を防ぐには、はしかが地域で流行していない状態を作るため、ワクチン接種が大事だ」と強調する。

■公明、接種率の向上へ力尽くす

公明党はこれまで、ワクチンで防げる病気(VPD)から命と健康を守るため、NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」などの団体と連携し、予防接種の充実などに取り組んできた。

公明党の川村雄大厚生労働部会長(参院議員)は「ワクチンで防げる病気から子どもを守るため、党のネットワークを生かして、MRワクチンなどの接種率向上に全力を尽くしたい」と話している。

■川崎市健康安全研究所参与 岡部信彦氏の講演(要旨)/ウイルス、国内定着を心配

はしかは極めて感染力が強く、肺炎や脳炎、中耳炎、視力障害などの合併症を起こしやすい。

日本では06年6月から、1歳と就学前の2回のワクチン接種が開始され、患者数が大幅に減少した。15年には、世界保健機関(WHO)から、はしかの「除去国」との認定を受けた。この時期の接種率は、1回目が95%、2回目が90%程度であり、SSPEの発生もなくなってきた。

ところが、コロナ禍以降、コロナ対策に医療資源や財源が投入され、世界的にMRワクチンを接種する機会が失われ、患者数が増加している。国内の感染状況を見ると、渡航歴がなく、海外から来た人との接触もない人の感染が多くなっており、ウイルスが国内に居座り始めたのではないかと心配している【表参照】。

MRワクチンを2回接種していれば、はしかに感染しても合併症から身を守れる。他人へうつすこともほとんどない。はしかによる死者が出ている国もある中、日本では多くの人が2回接種しているから、踏みとどまれている。「2回打っても感染するなら意味がない」のではない。

■集団の免疫機能向上が必要

日本では、MRワクチンの接種率がじわじわと減ってきており、接種率の維持・向上に努めていく必要がある。未接種の乳児を守るためには、引き続き集団の免疫機能を向上させることが必要だ。

はしか感染拡大、警戒を/乳児の「未来奪う」恐れ/参院議員会館で患者・家族が訴え

公明新聞電子版 2026年07月15日付

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